薬膳の書

* * * 第十九弾 * * 「山椒」 * * *

山椒(さんしょう)は小粒でもピリリと辛い!料理を生かす香辛料

イチジク、ニンジン、サンショウ、シイタケ、ゴボウにムカゴ・・・・・古くからあるわらべ歌にもでてくるように、日本人の食生活となじみ深いもの。日本料理の二大香辛料とされている。もうひとつは、柚子(ゆず)。歴史は古く、なんと、縄文時代にサンショウが入った土器が発見されている沖縄をのぞく日本全国に自生している。
古名をハジカミという。ハジカミラの略。ハジは、はぜる実を意味し、カミラは、ニラの古名。味が似ていることから、名付けられたといわれている「サンシュ」「ヤマサンショウ」ともいわれる。
若葉を「木の芽」と呼び、料理に多用される。
−ミカン科−

庭木としてもよく見かけ、高さは、1m〜3mくらい。葉の根に一対のトゲがある。春から初夏にかけて、黄緑色の小花が咲き、秋には赤い小さな実(5mm程)を結び、皮が裂けると、黒色の種子をだす。実の形、表皮はミカンにソックリ!
熟す前の青い実は、「アオザンショウ」といって、香辛料に利用される。


品種

朝鮮から兵庫県養父(やぶ)郡八鹿(ようか)村朝倉に渡来して、
各地に伝わった「朝倉ザンショウ」という品種は、実が大きく香りも高い。
献上品や大名の御用となり、とても珍重された。現在、栽培されている
主な品種が「朝倉ザンショウ」 トゲがほとんどないのが特徴。

産地 明治20年ごろより、「木の芽」の促成栽培が始まった。
全国一のサンショウの地として愛知県海部(あま)郡甚目寺(じもくじ)町
が知られている。
名物 愛知…菜飯田楽
熊本…肥後田楽
京都…鞍馬山の木の芽煮

−薬効−
葉、果皮、樹皮には、精油成分、辛み成分が含まれており、健胃、駆虫、保温に効果がある。
 ・木の芽みそ、粉ザンショウ、辛皮(しんぴ)は、食欲増進・食中毒予防になる。
 ・果皮を煎じて飲んだり、粉にして服用すると、胃のもたれに効果あり。
  また、空腹時に飲むと、回虫の虫下しに。
 ・ヒビ・霜焼けは、果皮を濃く煎じたものであたたかいうちにマッサージをするとよい。
 ・葉を粗く刻み、綿袋などに入れ浴槽に入れ入浴すると、リウマチ・神経痛・腰痛・肩こりによい。
 ・生葉の汁は、虫刺され、切り傷に効果あり。


−サンショウは小粒でピリリと辛い− 小柄でも気がきいて役に立つという諺。
諺どおり、ほんのわずかな量で料理を生かす!これがサンショウの基本。
サンショウは、あらゆる部分が利用できる食材です。
木の芽 春先の若芽は、お吸い物、田楽、木の芽あえなど、香りづけや色づけに。
夏に枝切りし、新芽がでたら、お浸しや和え物に。
少し育った葉は、刻んで薬味や佃煮に。
花サンショウ しょうゆで煮ると、酒の肴、お茶漬け、料理のツマに最適。
蕾(つぼみ)も酢漬けをして食べる。
青ザンショウ 香辛料、佃煮や漬物に。
粉ザンショウ ウナギの蒲焼」と言えば、粉ザンショウ!
魚の毒を消すといわれ魚料理に欠かせない。脂っこさも消す。
また、七味唐辛子の材料となっている。
辛皮(しんぴ) 若い樹皮を切り取って水に漬け、アクを抜き、皮をはぎ、刻んでしょうゆで
煮たり、塩漬けにしたもの。お茶漬けの友として、僧坊で用いられた。
かたい枝 すりこぎとして、最上!木の成長がゆっくりなので、珍重されている。
少しずつすぎこまれ、かすかな香りがたつので、人気が高い。
※七味唐辛子の材料
  赤唐辛子(あかとうがらし)、陳皮(ちんぴ)−みかんの皮、山椒(さんしょう)、
  胡麻(ごま)、芥子(けし)の実、麻(あさ)の実、青紫蘇(あおじそ)、生姜(しょうが)
  青海苔(あおのり)などから、7種類を混ぜ合わせたもの。

このページにでてきました、食材も「薬膳の書」で紹介しておりますので、ぜひ、お読みくださいね。
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