薬膳の書

* * * 第三十六弾 * * 「おくら」 * * *

 最近、消費量が伸びてきている野菜。原産地はアフリカ。古くからあり、紀元1世紀頃、インドにわたり、アメリカには18世紀頃広まった。日本へは幕末から明治の初め頃に渡来したが、日常野菜として定着したのは、昭和40年ごろ。別名「アメリカネリ」「オカレンコン」

サヤの形により品種があり、丸形では「グリーンマル」「グリーンベルベット」。五角形では「東京五角」「グリーンスター」「ベターファイブ」。八角形では「クリムソン・スパインレス」などがある。主力品種は、五角形のもの。

旬は夏。最盛期は7〜8月。25〜30度くらいが栽培適温。ハウス栽培、促成栽培され、1年中出回っているが、出荷量の多いのは、5〜10月。直径10cmほどの黄色の花が咲き、開花後5〜6日後に収穫される若いサヤがもっとも美味しい。                           −アオイ科−

−薬効・効能−
独特のぬめりは、ペクチンなどの食物繊維ムチン(やまいもなどにも含まれる)とが含まれているため。ペクチンは整腸作用があり、便秘解消に効果がある。血圧を下げたり、コレステロールを下げたり、糖尿病や動脈硬化の防止にも有効。ムチンは、タンパク質の消化吸収を助ける効果がある。他にも、カロチン、カルシウム、鉄、、ビタミンCを含んでおり、栄養価の高い野菜である。夏の体力回復におすすめ!納豆などの良質のタンパク質と食べると、特に効果がある。

−調理のポイント−
・緑が濃くしなびてないもの。
・ 切り口の新鮮なものを選ぶ。
・黒っぽくなったものは、風味が落ちてまずくなる。
・ヘタには、苦味があるので切り落とすこと。
・うぶ毛は、塩でこすってから水洗いする。
・下ゆでしてから、サラダ、和え物、バター炒めに。
・生の時は、かつお節としょうゆを和えると美味しい。
・煮魚を煮るときに入れると、におい消しになる。
・大きくなりすぎたものは堅い。6〜10cmくらいがよい。
・保存は、ポリ袋かラップに包んで、野菜室で保存。
 痛みが早いので3日くらいで食べきること。
−おくらにまつわるお話し−
普及しなかったオクラは、太平洋戦争で南方に赴いた人々が、現地でオクラを食べて飢えをしのいだ。帰還して栽培をはじめ、高知県でハウス栽培が始まり、普及していった。

オクラの種子を完熟させ、炒って粉にすると、なんと「コーヒー豆」の代用品になります。コーヒー栽培に適さないイギリスやフランスでは、珍重されていた時代もあったとか。

栗(くり)ブロッコリー薬膳目次