薬膳の書

* * * 第二十七弾 * * 「大豆(だいず)」 * * *

鬼は外!福は内!とても身近な食材。「大いなる豆」と書いてダイズ。見直されている歴史ある食材。

 栽培の起源は、中国東北部からシベリアのアムール河流域にかけて。中国では5000年程前から栽培が行われたようで、日本には弥生時代の初期以前に伝来し、「日本書紀」や「古事記」にも記述され、古くから日本人の食生活の中で、五穀(米・麦・粟・黍・豆(大豆・小豆))のひとつとして、そして、節分豆名月の行事などからも、五穀豊穣の祈願、吉凶を占ったり、厄を払うともされてきた重要な食糧である。            −マメ科−

■節分■
季節の変わり目。四季それぞれの季節の分かれる日「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日をさすが、特に立春の前日。四季のうち、冬から春になる時で、古くは一年の境と考えられた。この夜、柊(ひいらぎ)の枝に鰯(いわし)の頭を刺したものを戸口にはさみ、節分豆と称して、煎った大豆をまいて、厄払いの行事を行う。
■豆名月■
陰暦の9月13日の夜の月(陽暦では10月中旬頃)。陰暦の8月15日の十五夜の月に対して後の月という。
また、その日の月見行事。季節の風物として、枝豆を供えるところからいう。栗名月ともいう。

−種類− 色々な種別の仕方がある。
種類……色々な種別の仕方がある。
・茎の伸縮によって「有限型」「無限型」
・豆の形から「丸大豆」「平大豆」
・温度や日の長さに対する反応性によって「夏ダイズ型」「中間型」「秋ダイズ型」
・皮の色から「黄色」「黒」「緑」「褐色」「斑紋のもの」などがある。
・粒の大きさから「大粒」「中粒」「小粒」「極小粒」に分けられる。
・用途別から「搾油(さくゆ)用」「たんぱく食品用」「煮豆用」「きな粉用」などに分類。

−薬効・効用−
「畑の肉」と呼ばれるように、タンパク質、ビタミンB群、脂質が豊富。肉や魚、牛乳のタンパク質と比較すると劣るものの、良質で脂質が少なく低エネルギーなので、動脈硬化の予防、肥満のコントロール食品として最適。大豆の脂質の多くは「リノール酸」普通、リノール酸は酸化されやすいのだが、ビタミンEを多く含んでいるので大丈夫。ビタミンEは、抗酸作用がある。リノール酸は、コレステロールを洗い流す作用があり、高脂血症の予防になる。そして、最近注目をあびているのは「大豆サポニン」「レシチン」
大豆サポニンは、体内で脂質の酸化を抑制し、代謝を促進し、コレステロール、中性脂肪を低下させる働きがある。レシチンは、血管に着いたコレステロール、中性脂肪を洗い流す作用があるので、高血圧、動脈硬化、痴呆症などの予防になる。また便秘解消の効果もある。これは、ビフィズス菌のエサとなるのと、善玉菌を増やすオリゴ糖を含んでいるからである。
−マメで達者で−
お正月のおせち料理に欠かせない「黒豆」が最近見直されている。白米を主食とし、お餅を食べるお正月には、各種ビタミン、カルシウムが不足がち。それを補うものとして、ビタミン(特にビタミンB1)、カルシウムを多く含む「黒豆」を食べることは、栄養のバランスがとれ、合理的なのである。二日酔いや冷え性の効果もある。そして話題になっているのは
特殊成分「サポニン」を含んでいること。昔からぜんそくやのどの薬とされたのは、このサポニンの成分による。皮の黒色の色素は「アントシアニン」。鉄と反応すると、綺麗な黒色になるので、黒豆を煮るときは、鉄を入れて煮ると綺麗に仕上がる。

−調理−
大豆の難点は、“消化しにくい”という点。生の大豆の中に、消化酵素の働きを阻害する物質が含まれているからである。でも、加熱をすることにより、その物質はなくなっていくので、しっかり加熱することが、栄養を吸収するポイントなのです。
−大豆の戻し方−
◎大豆の4倍のうすい食塩にひたす。目安は5〜10時間。
◎鍋は厚手のものを利用する。
◎沸騰するまでは強火、差し水を2度ほどして、中火以下の火力でゆっくり気長に煮る。
◎豆が指で押してつぶれるくらい柔らかくなってから、調味する。
−ポイント−
大豆を煮るときは、熱が平均的に回らないと硬さや形がバラバラになってしまうので、その防止策として、鍋の底に「タケノコの皮」や「笹の葉」をひいたり、昆布や野菜と一緒に煮ると平均的に熱が回る。
−選び方・保存−
粒がそろい、形が整い、色ツヤのいいものが良品。袋の口を密閉し、缶などの密閉容器に入れ、湿気の少ない冷暗所に保存。煮豆の場合、夏でも3〜4日間保存が可能。

−大豆の加工品−
豆腐

大豆を水に充分ひたして、うすでひく。その時でる豆汁が「豆乳」
豆乳に「にがり」を加えて、固めたものが「豆腐」
穴の空いた箱型に木綿布を敷いて流し込み、重石をして余分な水分を抜いて固めたものが木綿豆腐。豆腐の断面が不均一で外観も粗い感じ。
濃い豆乳を穴のない箱にいれ、水分を取り除かずに固めたものが絹ごし豆腐。キメ細かく、のど越しがよい。
豆腐の二次加工品として
厚揚げ…「生揚げ」ともいう。木綿豆腐を厚めに切り、水気を切って油で揚げたもの。
油揚げ…薄く切った豆腐を水切りしてあげたもの。大きさは地方によりさまざま。
がんもどき…木綿豆腐の水気を絞り、すり鉢ですって山芋などのつなぎを加え、刻み野菜と混ぜて揚げたもの。
高野豆腐…凍り豆腐、しみ豆腐ともいう。豆腐を一度凍らせ乾燥させたもの。スポンジ状の歯ごたえ。
ゆば…豆乳を加熱して表面にできた、タンパク質の薄い膜を 引き上げたもの。「生ゆば」と「干しゆば」がある。
おから…「うの花」ともいう。豆腐を作る工程ででる豆乳を絞った後の大豆のかす。豆腐を作る過程での副産物。

納豆 大豆を煮て(または蒸す)柔らかくし、わらに詰め、40度の温度で一昼夜発酵させる。これが基本的な納豆の作り方だが、納豆菌を培養し、納豆菌をふりかけて作る方法が主流。最近では、わらではなく発泡容器に入った納豆の方が多い。また、粒も小さな粒が人気。ひきわり納豆や黒豆納豆もある。そして「におわない」納豆も市販されるようになった。納豆で名高いのは「茨城の水戸納豆」。関西での消費は少ない。
味噌 大豆を麹(こうじ)で発酵させたもの。麹の種類により「米みそ」「麦みそ」「豆みそ」がある。塩分の濃度によって分類すると「甘みそ」「辛みそ」に分類される。色では、「赤みそ」「白みそ」に分類。
−米みそ−
西京みそ…白みそで甘口。京都を中心に関西以西。香りがよい。
江戸みそ…赤みそで甘口。東京周辺が主産地。甘い香りがする。
信州みそ…淡色で辛口。主に信州で作られる。みその消費量の3割を占めるほど。サッパリした味。
仙台みそ…赤みそで辛口。他に、津軽みそ、秋田みそ、越後みそ、加賀みそなどもある。香りが高い。
−豆みそ−
赤みそで辛口。愛知、岐阜、三重が主産地。八丁みそ、三河みそ、三州みそ、名古屋みそなどがある。
愛知県岡崎市は八丁みその産地で名高い。うまみがある。
−麦みそ−
甘みそは九州が主産地。辛みそは、埼玉や栃木で多く生産。昔から農家で自家用に作ることが多かったので
「田舎みそ」とも呼ばれる。塩辛さが強い。
醤油 大豆と小麦を原料とする液体調味料。「紫」ともよばれ日本人の食生活とはきっても切れない調味料。
濃口しょうゆ…江戸中期頃、たまりしょうゆから発展したもの。生産の大部分を占める。香りが濃厚。
薄口しょうゆ…京料理によく用いられる。仕上げの時に甘酒を加え、甘みをつける。塩分が濃口より少し高い。
たまりしょうゆ…しょうゆの原形。中部地方で多く用いられ、原料は大豆のみ。独特の香りと甘い味がする。
再仕込みしょうゆ…二度しょうゆ醸造をすることからこの名前がついた。味は濃厚。
白しょうゆ…原料が大豆より小麦の方が多い。色は黄金色。名古屋特有の調味料。

−ビールに枝豆!−
枝豆は大豆の未熟な実。栄養成分も大豆によく似ている。タンパク質、ビタミンB1、B2、食物繊維、カルシウムが豊富。大豆にはないビタミンCが多いのも特徴。
枝豆は、昔から心臓や風邪、咳止めに効用があるといわれている。
アルコールから肝臓や腎臓をまもる成分「メチオニン」を含んで いる。また、ビタミンB1、Cを含んでおり、アルコールの酸化を促し、 肝臓に負担がかからない作用をしている。ということで、ビールのおつまみに枝豆は、理にかなった最適のおつまみなのです。ただし、消化吸収がよくないので、よくかんで食べる事!

大蒜(にんにく)蜆(しじみ)薬膳目次