薬膳の書

* * * 第三十八弾 * * 「柿(かき)」 * * *

 原産地は中国で、日本の果物の中で最も古い歴史をもち、全国に1,000種以上の品種がある日本を代表する果物のひとつです。
北海道を除いた各地で栽培。主な産地は、甘柿は、岐阜県、奈良県、和歌山県。 渋柿は、山形県、和歌山県、奈良県。
「柿が赤くなれば医者が青くなる」といわれるほど、健康によく、薬効も古くから利用されている。             −カキノキ科−


−薬効・効能−
主成分は糖質で、ブドウ糖、果糖、蔗糖を多く含み、エネルギー化されるのが早いのが特徴。柑橘類に次ぐビタミンCを多く含み、他、B1、B2、ミネラルなど各栄養素をバランス良く含んでいる。柿のオレンジ色は、ベータカロチンによるものでビタミンAの効力をもち、ビタミンAとCを含むことにより、疲労回復、かぜの予防、高血圧症やガン予防、老化防止などの効果がある。生柿はビタミンCは、大きなものなら1個で1日の摂取量がとれる。

干し柿にすると、生柿の時より、糖分は4倍、ビタミンAは2倍近くになり、胃腸を丈夫にし、内臓を温め、疲労回復に効果がある。また表面につく白い粉(柿霜=しそう)は、粘膜をうるおし、せきを止め、たんを取り除く作用がある。慢性の気管支炎や肺結核の予防に有効。

甘柿でも熟す前は、シブミある。これはシブオールという タンニン成分。熟してくると、タンニンが変化して、渋みが感じられなくなる。タンニンには、血圧を下げる効果がある。カリウムも含まれているので、利尿効果があり、飲酒後や二日酔いにはもってこいの果物。

−注目の柿の葉茶−
最近、柿の葉も注目を浴びています。
柿の葉も、実にまけないほど効力を発揮します。「自然のビタミンC剤」といわれるほどの含有量があり、その量は、みかんの数十倍ともいわれている。

喫煙や新酒で失われたビタミンCを補うのにピッタリで、若葉を使った天ぷら、和え物、サラダなどにして摂取すれば、効用を生かすことができる。

−食べる時の注意−
柿に含まれる渋みの成分タンニンが、鉄分と結びつき、貧血を起こしやすくするので、貧血の人は多食しない。

生柿の場合、体を冷やす作用があるので、冷え性の人、産後の人、病後の人は食べ過ぎに注意。

生柿は、消化の良い食べ物ではないので、特に胃腸の弱い人 は、多食をしないほうがいい。

−柿の種類−
富有柿 甘柿の代表種。北海道、東北をのぞき、ほぼ全国的に生産。ジューシーで甘く、熟すと濃い朱色になり、果皮に白い粉をふく。名産地は岐阜県。
次郎柿 ヘタの反対側から4本の縦の溝がはいっているものが多い。四角く平たい形。富有柿の次に人気が高い。原産地は静岡県。
筆柿 愛知県特産。小筆のように細く小ぶりの柿。たいていは甘く、風味もよいが、渋みがのこることもある。江戸時代から農家の庭先などに植えられ、庶民に親しまれていた
富士柿 富士山のように先がすぼまった大型の渋柿。福島県、山梨県で生産。渋抜きし市場にでまわる。干し柿にも最適。
平核無柿
ひらたねなし
渋柿生産量の8割を占める。種無しで平たい形。生食用に渋抜きしたものは、熟すととても甘い。各地、別称もある。山形県=庄内柿、新潟県=八珍、佐渡島=おけさ柿


ブロッコリー韮(にら)薬膳目次